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第2話 材料による軽量化を考えてみました。

軽量化する為に『材料を金属からプラスチックに変更したい!』との要望をよく耳にします。
プラスチック化は本当に軽量化になるのでしょうか。
簡単な計算も入れて定量的に考えてみたいと思います。

機械の設計屋さんは計算過程は簡単に理解できると思いますが、馴染みのない方は、私を信じて、途中計算過程を飛ばして『6まとめ』を見てください。

まずは各材料の物性から

下表に代表的な材料の機械物性を示します。
プラスチックの代表として自動車や家電製品によく使われているポリプロピレン(以下PPと称します)を挙げてみました。金属の代表はアルミと鋼です。

材料 PP アルミ
雰囲気温度 23 40 60
密度 kg/m3(×103) 0.9 2.6 7.8
縦弾性率 GPa 1.4 0.9 0.6 70 205
降伏点応力 MPa 28 22 17 200 340

PPは雰囲気温度によって随分物性が変わりますね・・  注意してください。

曲げの荷重が作用し、その変形量を重視する部品の場合

下図の様に主に曲げの荷重が作用するケースを考えます。
この図で変形量δが同じになる鋼部品の質量msとPP部品の質量mpの比率を求めてみます。
曲げ荷重を受けた時に同じ変形量となる鋼部品とPP部品の質量比m/mは0.61となり、PP化することにより39%の軽量化が可能となりますね。

曲げの荷重が作用し、その応力を重視する部品の場合

先ほどと同様に応力σが同じになる鋼部品の質量msとPP部品の質量mpの比率を求めてみます。
曲げ荷重を受けた時に同じ応力となる鋼部品とPP部品の質量比m/mは0.40となり、PP化することにより60%の軽量化が可能となりますね。

引張の荷重が作用し、その変形量を重視する部品の場合

下図の様に主に引張の荷重が作用するケースを考えます。

この図で変形量δが同じになる鋼部品の質量msとPP部品の質量mpの比率を求めてみます。
引張荷重を受けた時に同じ変形量となる鋼部品とPP部品の質量比m/mは16.9となり、PP化すると軽量化どころか、質量が16.9倍になってしまいます。

引張の荷重が作用し、その応力を重視する部品の場合

先ほどと同様に応力σが同じになる鋼部品の質量msとPP部品の質量mpの比率を求めてみます。

引張荷重を受けた時に同じ応力となる鋼部品とPP部品の質量比m/mは1.40となり、PP化すると軽量化どころか、質量が1.4倍になってしまいます。

まとめ

これまでの計算と同様な方法で各材料、各雰囲気温度での鋼部品との質量比を計算し、下表にまとめてみました。

作用する荷重 重視する物性 PP アルミ
23℃ 40℃ 60℃
鋼部品との質量比

/m又は
/m

曲げ 変形量 0.61 0.70 0.81 0.48
応力 0.40 0.45 0.52 0.43
引張 変形量 16.9 26.3 39.4 0.98
応力 1.40 1.78 2.31 0.57

PPは曲げ荷重を主に受ける部位では鋼に対して軽量化できますが、引張荷重を受ける部位では大幅な質量アップになってしまいますので注意してくださいね。(特に雰囲気温度の高い時)
アルミはどの様な荷重状況でも鋼に対して軽量化できる様です。

今回は変形量や応力をものさしとして検討してみましたが、実際には複数部品の一体化等による軽量化も有り得ますので、材料の特徴をよく把握してから軽量化検討を進めたら良いかもしれませんね。

又、実際の部品では曲げや引張等の荷重状況が明確に判るケースは少ないと思いますので、構造解析(CAE)にて事前に軽量化の可能性を確認することをお勧めいたします。

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