これまでの記事

2018年 高機能フィルム展、高機能プラスチック展レポート

幕張メッセにて高機能フィルム展、高機能プラスチック展が開催されましたので、レポートいたします。
会場は相変わらず中国語が飛び交っていて、この業界での中国パワーをあらためて感じました。
一日かけて一通り回りましたが、主に目についた展示をご紹介いたします。

架橋点がスライドする超高分子樹脂改質剤

◇出展企業:アドバンスト・ソフトマテリアルズ株式会社

鎖状高分子に環状分子をネックレスの様に通した構造の樹脂改質剤です。

架橋することによる樹脂の機械物性向上のみならず、架橋点がスライドすることで加工等による履歴が残り難いことや、弾性率が低くなること、及び、永久ひずみが残り難いこと等のメリットが出てくる様です。

他の応用物性で特長が出るかもしれませんので興味をそそるところです。

被改質のメイン樹脂は極性基を有することが前提ですので、PPやPEには応用し難いですが、それでも極性基含有PPなどの改質には期待が持てるかもしれません。

 

熱膨張性マイクロカプセル

◇出展企業:松本油脂製薬株式会社

熱可塑性高分子を外殻とし、内部に液状炭化水素をを封入した熱膨張性のマイクロカプセルです。
比較的以前から販売されておりましたが、今回、このカプセルにより比較的均一な独立気泡体が形成されたPPシートが展示されていましたので、目に留まりました。

PP発泡成形では独立気泡体をつくるのが比較的難しく、PPの伸長粘度調整に苦労したことがありましたので、このカプセルにより解決できれば素晴らしいと思いました。
又、通常の化学発泡においては発生ガスの臭気や安全性等を懸念することもありましたが、炭化水素であればこの懸念点は解消されるかもしれません。

カプセル粒子径や膨張度合はいろいろとラインナップされていて、既に膨張済みのカプセル等もありますので、用途の広がりが期待できそうです。(*膨張済みのカプセルは樹脂混錬時の熱と剪断力で破泡するとのことですので、塗料の断熱性向上等、熱や剪断力のかからない用途に使われる様です)

いろいろなガスを吸収するフィルム

◇出展企業:共同印刷株式会社

様々なガスの吸収剤を樹脂に高含有で混錬したフィルムです。
例えば酸素除去の場合は通常は脱酸素剤を包装体に同梱しなければなりませんが、これらのフィルムは脱酸素剤等の吸収体をフィルムに一体的に練りこんで同梱不要としたものです。
安全性も高そうで、医薬品等への使用実績もあります。
一部のフィルムの層構成と効果を下図に紹介します。

・オキシキャッチ   :酸素吸収フィルムです。酸化セリウム系脱酸素剤を高濃度に含有
・オージーキャッチ  :アセオアルデヒド、トルエン等のアウトガスを吸収するフィルムです。
・モイストキャッチ  :水分とアウトガスを吸収するフィルムです。
・ノンキャッチ    :薬効や香りを逃がさないフィルム。EVOHとオレフィン樹脂をアロイ化。
・酢酸+湿気吸収フィルム:開発品で、名前の通りのフィルムです。
・硫化水素ガス吸収フィルム:  〃
・酢酸ガス吸収フィルム:    〃
・エレノット     :非接触型帯電防止フィルムで、帯電防止剤と充填物が接触しません
コンバータ用に層構成を変えたフィルムもラインナップしている様です。

体温付近の温度で柔らかくなるフィルム

◇出展企業:クラボウ
温度によってtanδが大きくなるフィルムです。
tanδが大きい程、粘性の度合いが高くなります(ねばねば度合いが増える)ので、用途例の様に体温付近ではフィルムを顔にきれいに貼り付けることができるのでしょうね。

tanδが大きくなる温度域の調整は可能で、PPと同等のヒートシール性があるとのことです。

レーザ樹脂溶着機

◇株式会社ファインディバイス

レーザ加工は、どちらかというと金属の精密微細加工、つまり微細穴加工、微細溝加工、微細切断等のイメージが強かったですが、プラスチック溶着用としてレーザ溶着機とその溶着試験片が展示されていましたので簡単に紹介いたします。
プラスチックの溶着は、一般的にヒートシールという加熱バーによるシール溶着や、超音波溶着、振動溶着、熱板溶着等があり、それぞれの特徴を活かした用途で広く使われています。
今回のレーザ溶着自体はそれ程新しい技術ではないと思いますが、溶着サンプルを見るとあらためてその溶着部の精緻さに目を惹かれました。

レーザ溶着のメリットは、その精密性と部品本体へのダメージが少ないことだと思いますが、一方では、レーザ透過材(一般的に透明)と吸収材(色付き)の組み合わせでしか溶着ができないというデメリットもあります。
ただ、最近では溶着界面に吸収剤を塗布することにより双方が透明な部品でも溶着可能になっている様です。

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

翻訳に使ってください