第13話 研究試作の目的は何ですか・・
目的とする形状を考え、その強度検討も終え、そして図面化して、これで設計完了!!
自信をもって次のステップの試作に移るわけですが、ここで注意が必要ですね。
設計者は自分が形状を考えて検討したわけですから、試作をする前でも、その製品のイメージは頭の中で判っています。
それゆえに、試作の目的は「性能評価」に主眼を置きがちで、特にチャンピオンを作って性能確認をしたがる傾向にある様に思います。
もちろん「性能評価」は大変重要な項目ですが、それと同時に広い視野でその製品を評価していくことが必要でしょう。
設計者はもちろんのこと、営業、製造、品質等の他部署も、初めて現物を目の前にする訳ですから、この貴重な現物を各部署の立場で同時に評価していかなければなりませんね。
例えば・・・
設計部門:図面で気が付かなかった不具合はないか・・ もっと改良する点は・・
営業部門:そもそもこれで売れるのか。お客様への訴求性はあるか。デザインは・・
製造部門:この製造に必要な設備は・・投資額は・・或いは、もっと作りやすい設計は・・
品質部門:過去のクレームは対策されているか・・新機能の信頼性は・・
ここで注意しなければならないのは「第8話」でも書きました様に、各部署は単なる評価者ではなく、自らの問題として考え、できれば、対応策も設計部門に提案するくらいの姿勢でいることですね。
この様にしてコンカレントエンジニアリングが形作られて行くと思いますよ。
もう一度設計者に戻りますが、設計者は各部署の評価を素直に受け止めなければなりません。
性能評価で問題があると設計者はかなり真剣に受け止めますが、その他の問題点は後回しにしがちであるのも否めない事実ではないかと思います。
私も苦い経験があり、目の前の性能向上対策ばかりに翻弄され、製造の問題点を後回しにした為に、設計のやり直しを余儀なくされたことがありました。その時は当初の性能向上対策も雲散霧消しました。
とかく性能以外の問題点は「次の二次試作、量産試作等で対応しよう・・」と思いがちですが、後回しにした問題点は消えることはなく、必ず、最後まで後を引きます! (どこかで聴いた言葉ですが・・「いつやるの・・今です!」)
試作品は至宝です。この至宝を皆で有効に評価しましょう。これが正にフロントローディングかもしれません。