第3話 プラスチックの耐熱性って・・

プラスチック研究を行っていた時、お客様から以下の様な問い合わせを受けたことがあります。
 お客様:「耐熱性の良いPP銘柄を紹介(開発)して欲しい」
 私  :「具体的にはどの様な耐熱性ですか? 例えば、耐熱老化、HDT・・」
 お客様:「なにせ熱に強いやつ。エンドユーザが100℃に耐えるPPを使えと言っている」
 私  :「・・・?」

一言に耐熱性といってもいろいろな物性があり、それによって選択(開発)する銘柄は全く異なりますので、必要な物性を明確にしてから、プラスチックメーカに問い合わせした方がスムースに話が進むかもしれませんね。

耐熱性に関連する物性をいくつか紹介いたします。
①耐熱老化性
  高温下(例えば100℃)に長時間置いた時に劣化する程度のことです。
  プラスチックは高温になる程、劣化が進行します。
  劣化すると伸びが低下して脆くなったり、強度が下がったり、変色したりします。
②熱変形温度
  HDT(Heat Deflection Temperature)とも言います。
  定められた荷重をかけた時にある一定の変形量になる温度のことです。
  これが高い程、高温下でも変形がし難いです。
③高温時強度
  熱可塑性プラスチックは高温になれば、劣化していなくても強度が低下します。
  各雰囲気温度における強度のことです。
④融点
  プラスチックが溶ける温度です。

上記値をプラスチックメーカに定量的に伝えるのが難しい時は、「①高温でも劣化し難い」、「②高温でも変形し難い」、「③高温でも強度が強い」、「④溶ける温度が高い」と伝えてもらえればある程度適切な銘柄を選んでくれると思います。

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